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時間的な痛みの分類と侵害受容性疼痛について

 

誰でも生きていれば、転んだり身体をぶつけたりして身体に痛みが生じます。しかし、一概に「痛み」といっても激痛や疼痛など多種多様な痛みの種類があり、痛みの感じ方も人によりさまざまです。

実際によく考えてみると、痛みの種類もたくさんあることに気付きます。現代医学では、痛みについて、どのように分類分けをしているのでしょうか。

実は、痛みの持続時間や痛む場所、痛みの原因などで、痛みの種類について詳しく分類されているのです。

痛みを詳しく分類分けすることにより、自分が感じる痛みがどの分類に入るのか知ることが可能になり、痛みに対してどのように対処したらいいのか理解できます。

今回は、時間的な痛みの分類と侵害受容性疼痛について解説します。

痛みの持続時間で分類する

現代医学では、痛みは持続時間で分類されています。例えば、なんらかの影響を受けて身体に怪我をしたとします。

そのとき、急激に身体に痛みが生じる痛みのことを「急性痛(きゅうせいつう)acute pain」といいます。

現代医学用語で、痛みのことを「侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう nociceptive pain)」と呼びます。

侵害受容性疼痛は、健康な身体の組織がなんらかの外部からの影響や刺激(怪我や火傷など)により、細胞組織などが損傷したことによる痛みのことを指します。

身体中に張り巡らされている末梢神経には、「侵害受容器(Nociceptor)」と呼ばれる体外から受けた侵害刺激を、電気信号に変える神経性の変換器を備えています。

侵害受容器による変換器から、組織損傷の影響や刺激が電気信号に変換され、その後中枢神経に伝わった痛みのことを「侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)」といいます。

通常、私たち人間が感じる一般的な痛みは、侵害受容性疼痛に該当します。

侵害受容性疼痛は、なんらかの影響により怪我や火傷などが生じた箇所に炎症が起こり、その箇所に痛みを引き起こす発痛物質が体内で発生することにより痛みを感じます。

侵害受容性疼痛は、打撲や火傷、切り傷、腹痛など、私たちが日常生活の中で普通に経験するものです。

侵害受容性疼痛は、私たちの身体がなんらかの異常が発生したことを自分自身に知らせるための警告信号であるため、とても大切な役割を担っています。

侵害受容性疼痛による痛みがすぐに引けばいいのですが、自律神経の交感神経や運動神経も緊張するため、痛みが長引くことで「痛みの悪循環」に陥り、新たな痛みが生じることがあります。

侵害受容性疼痛の治療方法は、できるだけ早い原因除去がポイントになります。一般的な侵害受容性疼痛の治療方法としては、病院では痛み止めなどの薬剤が処方されます。

しかし、急性期に起こる帯状疱疹などの激痛には、すぐに痛みが痛み止めなどの薬剤で引かないこともあります。

そのため、痛みの悪循環を避けるために、神経ブロックなどをおこなう病院もあります。大切なことは、痛みの悪循環による神経の変性を食い止めて、脳や身体に痛みを記憶させないことです。

痛みの持続期間による分類

身体に生じる痛みの期間が、1ヶ月~3ヶ月未満の比較的短期間に生じる痛みのことを「亜急性痛(あきゅうせいつう)」「急性痛」といいます。

また、痛みの期間が3ヶ月~6ヶ月以上続いている痛みのことを「慢性痛chronic pain」といいます。ただし、この期間の目安は定義化されたものではありません。

慢性痛の定義は、「疾患の治療に要すると期待される期間を超えて持続する痛み」とされています。

慢性痛は、痛みの主原因が治癒したと考えられる期間を超えて痛みが持続して、痛みの程度と原因となる主原因が一致しません。

慢性痛の痛みを抱えることにより、不安や抗うつ、意欲の低下、不眠、頭痛、腹痛などの精神的や心理的症状も同時に伴うこともあります。慢性痛には、関節リウマチや三叉神経痛などがあります。

侵害受容性疼痛の分類

現代医学では、侵害受容性疼痛を大きく2つに分けています。1つは、前述したとおり、急激に身体に痛みが生じる痛みである「急性痛」です。もう一つの侵害受容性疼痛は「慢性痛」です。

急性痛は、さらに分類することができます。例えば、なんらかの障害により身体に生じた切り傷などは「外傷痛」といいます。

ただし、外科手術の切開で生じる外傷の痛みは「術後痛 Postoperative pain」といいます。

外傷痛や術後痛以外にも、蒸気や熱湯などの熱が皮膚に触れて痛みが生じることを「熱傷痛 Burn Pain」といいます。

他に、女性が子供を出産するときに伴う痛みのことを「分娩痛」といい、急性痛に分類されます。

病気の中では、ヘルペスウィルス(Herpes virus)により痛みが生じることを「帯状疱疹痛(たいじょうほうしんつう)」といい、これも急性痛に分類されます。

これらの急性痛に対して、もう一つの侵害受容性疼痛には「慢性痛」があります。慢性痛は、「慢性疼痛」ともいわれています。

前述したとおり、慢性痛は3ヶ月以上痛みが続いたり再発したりした場合や、急性の組織損傷による快復後1ヶ月以上経過しても痛みが生じる場合の痛みのことです。

統計では、日本人の4.4人に1人が慢性痛による疼痛患者といわれています。慢性痛の痛みは、誰でも経験したことがある1位の腰痛、2位の肩こり、3位の頭痛が症状別上位を占めています。

他にも、背中や腰に痛みが生じる「腰背部痛」や、リウマチにより関節に痛みが生じる「リウマチ性関節痛」などもあります。

リウマチ性関節痛に似ていますが、関節が炎症を起こして痛みが生じる「骨関節炎」や全身広範囲に痛みを感じる「繊維筋痛症(せんいきんつうしょう)myofascial pain syndrome」なども慢性痛の痛みに分類されます。

筋肉の使いすぎで痛みが生じる「筋筋膜痛症症候群(きんきんまくつうしょうしょうこうぐん)myofascial pain syndrome」なども慢性痛に分類されます。

間歇性跛行と侵害受容性疼痛

侵害受容性疼痛を大きく分けると急性痛と慢性痛の2つに分かれますが、この2つ以外にも「間歇性(かんけつせい)」による侵害受容性疼痛があります。

間歇性について説明する前に、「跛行(はこう)」について説明します。例えば、足の痛みに耐えられずに、足を引きずったりかばったりして異常な歩行をする人がいます。

この歩行のことを「跛行」といいます。跛行の代表的なものに「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」があります。

跛行の定義は「外傷、奇形、その他の疾患により正常な歩行ができない状態」とされています。この定義には、老化や疲労は含まれません。

間歇性跛行とは、しばらく歩行をおこなうと下肢の痛みやしびれなどが出現しますが、座ったり前かがみになったりすることで痛みの症状が軽快することをいいます。

つまり、歩行時に休息を入れると身体が回復することが、間歇性跛行の特徴になります。間歇性の「間歇」とは、「痛みが一定の間隔で生じたり消えたりすること」を意味します。

間歇性跛行は、主に下肢の痛みやしびれ、つる(こむら返りなど)などの症状が出ます。

また、神経性の要因により生じる間歇性跛行の痛みは、神経の走行に合致した箇所に痛みやしびれなどが生じます。

間歇性跛行には、「神経性間歇性跛行」「血管性間歇性跛行」があります。神経性間歇性跛行の原因は、主に椎間関節の圧迫や黄色靱帯の肥厚、椎間板ヘルニアや脊柱管の狭窄などにより脊髄が圧迫されて生じます。

神経性間歇性跛行は、主に脊柱をそった場合(伸展)に痛みやしびれなどが増加するのが特徴です。こうしたことから、歩行時に休息すると、痛みなどの症状が軽快するのです。

神経性間歇性跛行は、「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」などが主原因として挙げられます。

血管性間歇性跛行は、下肢の血管が狭窄されたり詰まったりすることにより、痛みやしびれなどが生じます。

血管性間歇性跛行が起こると、下肢に血液が十分に供給されないため、細胞の酸素不足が起こり痛みやしびれなどが生じます。

血管性間歇性跛行は、休息時の姿勢には関係なく、休むことにより症状が軽快します。主な疾患として「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」などがあります。

侵害受容性疼痛の症状と症例

前述したとおり、侵害受容性疼痛にはさまざまな痛みがあります。一般的に多い侵害受容性疼痛の症例は、捻挫や打撲、切り傷、やけどなどで、幹部が晴れて熱感が生じて痛みが出る症状です。

また、誰にでも起こりえる「頭痛」も侵害受容性疼痛に分類されます。

偏頭痛が起こると、大概はズキズキする痛みを頭(こめかみなど)に感じます。ひどくなると、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。

偏頭痛の特徴は、ズキズキする頭の痛み以外にも、光や音、さまざまな匂いなどにも過敏になることが多いようです。

偏頭痛は、20代~40代の女性に多くみられるようです。

個人差があり、週に何回も発症する人もいれば、年に1~2回程度発症する人もいます。また、偏頭痛は、風邪や花粉症などでも生じることがあります。

侵害受容性疼痛は一般的症例や偏頭痛以外にも、髄膜に炎症が生じて痛みが生じる「髄膜炎(ずいまくえん)」や、脳腫瘍(のうしゅよう)により頭蓋内に圧力がかかって痛みが生じる場合もあります。

他にも、侵害受容性疼痛には腹痛も含まれます。例えば、なにか物を食べたり飲んだりしたときに、消化管が収縮したり拡張したりしてお腹が刺激されて痛みを感じる場合があります。

お腹の痛みでは、「盲腸(虫垂炎(ちゅうすいえん))で腹膜が炎症を起こした場合も侵害受容性疼痛に分類されます。

内臓関係では、肝臓ガンが大きくなって肝臓の皮膜が刺激されて痛みが生じる場合も侵害受容性疼痛に分類されます。

変わった侵害受容性疼痛の分類に、虫歯で口腔内が感染して頬や顎が腫れて痛む場合があります。

侵害受容性疼痛は、誰でも嫌なものです。私たちは、侵害受容性疼痛の痛みがどうすれば解決できるのか理解することです。また、侵害受容性疼痛の予防をすることも重要です。