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スポーツによる肩の痛みの原因と対処法

近年では、年齢に関係なくスポーツが盛んで、小さな子供から中高年の方まで幅広くおこなわれています。

それに伴い、スポーツで肩を痛めるケースも多くみられます。肩の痛みにはさまざまなものがありますが、スポーツで肩関節を動かしたときに痛みが走ることがあります。

この疾患を「インピンジメント(impingement)症候群」といいます。この疾患は、野球や球技など、肩関節を多く使うスポーツに多いようです。

しかし、インピンジメント症候群とは、どのような疾患なのでしょうか。今回は、インピンジメント症候群など、スポーツや仕事による肩の痛みの原因と対処法について解説します。

スポーツで起こる肩の痛み

スポーツは、通常の生活よりも肩関節の可動域を大きく使うため、肩痛(けんつう)を起こすことが多くなります。

また、中高年の人はスポーツによる回復能力も低いため、肩の痛みが慢性化する場合も多いため注意が必要です。

肩痛は、肩を大きく動かすスポーツにみられます。例えば、野球やテニス、バスケット、バレー、ラクロス、バドミントン、陸上競技、格闘技、水泳、重量挙げなどです。

また、肩を大きく動かすスポーツだけでなく、肩関節を打撲して肩痛が起こることもあります。

肩痛が起こる原因には、さまざまなものがあります。例えば、脱臼や腱板損傷、上腕二頭筋長頭炎、インピンジメント症候群などです。

腱関節の脱臼は、転倒して肩から落ちたり腱関節の無理な動作をおこなったりして起こります。腱関節が脱臼すると、腱板損傷も同時に起こることが多くあります。

腱板損傷は、肩の奥にある回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)という肩甲骨の前後に位置する4つの筋肉(小円筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋)と筋肉から続く腱が傷ついて炎症や痛みが生じる疾患です。

回旋筋腱板は、英語で「ローテーターカフ(Rotator cuff)」といいます。ローテーターカフは、別名「インナーマッスル」とも呼ばれ、腱関節の安全性を保つ上で非常に有用な役割を担います。

しかし、肩関節は構造上とても複雑で、損傷を受けやすい箇所でもあります。

負荷が肩関節に多く掛かるような腕を上げる動作(オーバーアーム動作など)では、ローテーターカフが上腕骨と肩甲骨に挟まれて擦れるために損傷が起こります。

特に損傷が起こりやすい箇所は「腱板疎部」といって、棘上筋の薄くなっている部分で、損傷に伴い痛みが生じます。

上腕二頭筋(biceps brachii)は、腕を曲げたときに力こぶができる筋肉です。上腕二頭筋は、前腕を外に開く動作(回外)や肘を曲げる動作(屈曲)に最も貢献する筋肉です。

肩痛のひとつに「上腕二頭筋長頭炎」があります。上腕二頭筋長頭は、肩甲骨から上腕骨の大結節と小結節の間にある「結節間溝部」という溝を通過して、上腕二頭筋の太い筋肉につながっています。

通常は、上腕二頭筋長頭の結節間溝の上には「上腕横靱帯」で覆われています。しかし、スポーツなどで肩関節を大きく動かす動作をおこなうと、小転子にかかって摩擦を起こすために損傷を受けやすくなります。

また、激しいスポーツなどで、上腕二頭筋長頭と肩甲骨の付着部の関節窩(かんせつか)にある関節唇が剥離する場合があります。この疾患を「SLAP損傷」といいます。

インピンジメント症候群による肩の痛み

インピンジメント(impingement)とは、「肩にひっかかり(挟み込み)を感じる」「衝突する」などの意味があり、いろいろな肩部の症状の集まりとして「インピンジメント症候群」といいます。

インピンジメント症候群は、野球やテニス、バスケット、バレー、ラクロス、バドミントン、陸上競技、格闘技、水泳、重量挙げなどに多く起こる疾患です。

インピンジメントの種類は、「肩峰(けんぽう)下インピンジメント」「烏口(うこう)下インピンジメント」「インターナショナル(後上方)インピンジメント」「プーリーリージョン(前上方)インピンジメント」の4つに分けられます。

関節の外側で起こるインピンジメント症候群が、肩峰下と烏口下インピンジメントです。

また、関節の内側で起こるインピンジメント症候群が、インターナショナルとプーリーリージョンインピンジメントです。

つまり、肩関節の内側か外側で、インピンジメント(ひっかかりや挟み込み)が起こるのです。

インピンジメント症候群が起こる原因はさまざまで、骨の変形などにより、腱板を骨と骨の間に挟み込んで痛みが生じます。

例えば、肩関節を構成する肩甲骨や上腕骨、鎖骨などが、激しいスポーツや仕事などで変形して腱板を挟みやすくなるような状態です。

それに伴い、靱帯の肥厚や骨棘、滑液包の石灰沈着なども起こります。ひどくなると、腱板が断裂することもあります。

また、肩甲骨の可動域が悪かったり、肩関節組織が拘縮(こうしゅく、固まること)したりしてインピンジメント症候群が起こる場合もあります。

下記に、さまざまなインピンジメントによる痛みについて記述します。

肩峰下インピンジメントによる痛み

肩甲骨の上方には「肩峰(けんぽう)」が位置し、肩峰の下で起こるひっかかりや挟み込みのことを「肩峰下インピンジメント(subacromial impingement)」といいます。

肩峰下インピンジメントは、インピンジメント症候群の中でも、最も多いインピンジメントといわれています。

腕の骨(上腕骨)には、棘上筋(きょくじょうきん)という筋肉が付いています。腕を挙げるときに、棘上筋は肩峰と烏口突起(うこうとっき)という骨の間を通過します。

このとき、スポーツや仕事などで肩に負荷が掛かりすぎることにより、肩峰下でインピンジメントが起こります。

肩峰下インピンジメントになると、肩を挙げたときに肩関節が詰まったような感じがします。

肩峰下インピンジメントで、よく起こる痛みやつまり感は、肩関節が外転する角度が約80°~120°外転したときです。

また、肩関節の可動域に制限があったり、腕を挙上する際にスムーズに上がらなかったりします。ひどくなると、挙上時の途中から肩関節に痛みが走り、腕を挙上できなくなります。

そのため、腕を無理矢理挙げようとして身体を側屈させたり、肩甲骨を無理な方向へ動かしたりしようとする「代償動作」をおこなおうとします。

代償動作をおこなうことにより、肩関節だけでなく、他の身体の部位にも痛みが生じることになり悪循環に陥ります。

肩峰下インピンジメントの原因は、腱板機能の低下や肩関節の後方軟部組織の拘縮、肩甲胸郭関節の機能低下、肩峰下滑液包(SAB)の癒着などです。

烏口下インピンジメントによる痛み

烏口下インピンジメント(subcoracoid impingement)は、野球の投球動作などで起こることが多い疾患です。

野球の投球動作では、最初の動作からワインドアップ期、コッキング期、加速期、リリース減速期、フォロースルー期の5相に大別されます。

烏口下インピンジメントは、肩関節が水平屈曲と内旋する動作時に、烏口突起と上腕骨の小結節の間に肩甲下筋腱が挟まれることで痛みが生じる疾患です。

野球の投球動作では、前述したフォロースルー期にこの状態が起こるため、インピンジメントが起こります。

烏口下インピンジメントが起こる原因は、肩甲骨の周りにある筋肉の緊張や拘縮により、骨の位置がインピンジメントを起こしやすい位置にあることです。

また、普段の姿勢が悪くて背中が丸かったり、頭頸部が肩部よりも前方にある姿勢を常にとっていたりすることもインピンジメントの原因として挙げられます。

これらの原因により、肩甲骨や胸郭、胸椎の可動不良からインピンジメントによる痛みが生じます。

逆に、肩関節が柔らかすぎたり、スポーツや仕事などでのフォームが悪かったりすることも烏口下インピンジメントの原因になります。

インターナルインピンジメントによる痛み

インターナルインピンジメント(後上方インピンジメント,internal impingement)は、野球などの投球動作で、腕を挙げて後ろに持っていく動作(コッキング期:cocking phase)をおこない、肩関節を外に向かってねじる(外転+外旋)動作のときに痛みが生じます。

肩関節の可動範囲内の動作なら、特に問題はありません。しかし、投球動作で腕が後ろに行きすぎ(過外旋)たときに、インターナルインピンジメントが起こります。

過外旋は、コッキング期だけでなく、腕を前に投げていく「加速期:acceleration」のときにも起こります。

この動作のときに、棘上筋(きょくじょうきん)や棘下筋(きょくかきん)などの腱板が、肩関節内の臼蓋(きゅうがい)後方に乗り上げたり関節間にはさがったりして損傷します。

インターナルインピンジメントにより、棘上筋や棘下筋の腱板が損傷や断裂したり、前方関節唇や後方関節唇が損傷したりします。

「SLAP損傷(superior labrum anterior and posterior lesion)」といって、上方関節唇損傷も起こり、この損傷は野球をおこなう人に多い疾患です。

また、「動揺肩(どうようかた)」といって、肩関節がゆるくなることもあります。

プーリーリージョン(前上方)インピンジメントによる痛み

プーリーリージョンインピンジメント(pulley lesion impingement)は、腕を挙げて肩関節を内側に捻る動作時(肩関節の屈曲+内旋)に、上腕二頭筋長頭腱や肩甲下筋腱付着部などが、肩関節の前上縁にインピンジメント(衝突する)して肩関節に痛みが生じます。

インピンジメント症候群の診断

インピンジメント症候群の診断には、さまざまな方法があります。具体的には、レントゲンやMRI、CT、関節造影などで画像により、構造的な問題があるか検査します。

これにより、棘上筋腱などの損傷や、関節唇の変化などを調べます。さらに、実際にどのような動作で痛みや張りなどの症状があるのか確認します。

他には、全身の柔軟性や肩関節の拘縮度などを確認して、総合的に判断します。

インピンジメント症候群の治療

インピンジメント症候群の治療では、物理療法としてアイシングやホットパック、低周波療法、低出力レーザー療法、低出力超音波療法などがおこなわれます。

また、消炎鎮痛剤による除痛もおこなわれることがあります。

インピンジメント症候群の初期段階では、痛みが緩和されたあとに、ストレッチやローテーターカフ筋に対してのアイソメトリックトレーニングなどをおこないます。

これらの治療法で改善がみられない場合には、肩関節(肩峰下滑液包内)にステロイドやヒアルロン酸ナトリウムを注入することもあります。

腱板損傷や関節唇損傷がひどい場合には、肩関節鏡視下でデブリードマン(壊死部分や骨片、異物などの除去)手術がおこなわれます。

また、肩峰に引っかかりを感じる場合には、肩峰の骨の部分切除手術による除圧術がおこなわれることもあります。

肩関節で起こるインピンジメント症候群は、肩関節の内側と外側で起こる(衝突や挟み込みなど)疾患です。

これは、機能的疾患と構造的疾患の2つのタイプにわかれます。

インピンジメント症候群には、さまざまな治療が施されますが、1ヶ月以上経過しても痛みが減らない場合には治療方法が間違っていることが考えられます。

身体は脳が支配しているため、肩関節の可動域を超えるようなストレッチをおこなったり、物理療法をやりすぎたりした場合に逆効果になるおそれがあります。

その結果、患部周辺の筋肉が緊張して痛みが慢性化するため、痛みが続くと考えられます。痛みをともなう無理なマッサージや、ボキボキする整体、ストレッチなどは、さらに痛みを悪化させる原因となります。

また、スポーツ指導者や体育の先生などの指導方法も、痛みの改善を妨げる原因になっている可能性があります。

「少しくらい痛くてなんだ。やる気がないのか。そんな子は使わない。多少は我慢しろ。」などと、根性論を通す指導方法は考えものです。

インピンジメント症候群による痛みで苦しんでいる子供さんは、やる気がないのではなく、痛みがあるために良いプレイができないにすぎません。

このようなときには、一度しっかり身体を健康な状態に戻してからスポーツをおこなった方が、子供のためにもチームのためにもなります。

痛みを抱えてスポーツを頑張れば、治るものも治らなくなり、チームにも迷惑がかかるのです。良い指導者は、絶対に無理はさせません。

長いスパンでみて、「どのように子供を成長させるか?」を考えて指導することが本物の指導者といえるでしょう。

あんしん療法では、施術後のアドバイスも同時におこないます。それは、インピンジメント症候群が良くなったにも関わらず、練習後にまた痛みが戻ることが考えられるためです。

脳は、常に身体を守る働きを担っています。そのため、今までおこなってきた間違った姿勢や動き方を再度おこなう可能性があります。

よって、姿勢や動作、練習方法、休息、栄養など、効果的なアドバイスをおこないます。

もちろん、どのような疾患でも、治る過程に違いがでてきますが、重度の疾患でも脳や身体に対して適切な働きかけをおこなうことにより、健康改善する可能性は十分にあります。

なるべく本人の早い改善を目指して、早期復帰できるようにアプローチさせていただきます。人の身体は、生きている限り必ず改善します。自分の身体や心を信じて、生活するようにしましょう。